こんにちは。春日井市の元銀行員税理士・小野木です。
創業融資を申し込んだら必ず聞かれるのが「自己資金」がいくらあるか。
理解不足によって、融資を受けられなくなるケースもありますので、しっかり理解しておきましょう。
もくじ
自己資金ってなに?
自己資金とはその名のとおり、「自分が持っているお金」のことをいい、融資の際の自己資金は「通帳でちゃんと確認できるお金」のことをいいます。
第三者がみてわかる形にしておくのが重要ですね。
自己資金はなぜ必要なのか?
なぜ自己資金は必要なのか?というと、基本的に銀行は自己資金を多く持っている人を信頼します。
例えば自分がお金を貸す立場になったとして、
A「500万円貸してください。自己資金は300万円あります!」
B「500万円貸してください。自己資金はありません!」
と、ふたりからお願いされたとしたら、どちらを信頼するでしょうか?
おそらくAさんの方だと思います。
銀行としては、貸したお金が返ってこないと困るわけですから、しっかりと準備する人にお金を貸したいと思うわけです。
また、自己資金の大小によって、申込者の「情熱・やる気」を判断される場合もあります。
銀行は、
「Aさんは自己資金が300万円あるし、創業に向けてしっかりと準備しているな。きっとやる気があるんだろう」
と判断するのに対し、
「Bさんは自己資金がないけど大丈夫かな。計画性のある人なんだろうか。お金を貸しても大丈夫かな…?」
と判断します。
創業しよう!と思い立ったら、少しづつでもいいのでまずお金を貯めていくことが大事です。
自己資金はいくらあればいいの?
自己資金は○○円あれば大丈夫!というものはなく、明確な基準はありません。
多ければ多いほど評価してくれます。
「多ければ多いのはわかっているけど、自己資金がないから借りるんだよ。」と多くの方が思うでしょう。
創業融資には「自己資金の要件」というものがあり、自己資金の最低ラインが設定されています。
それぞれ確認しましょう。
日本政策金融公庫の自己資金の要件
「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方」
と記載があります。
つまり、開業資金総額が500万円とした場合、最低でも50万円以上の自己資金がないと450万円借りられませんよ、ということです。
愛知県信用保証協会の場合
保証協会の場合、「自己資金なしで、2,000万円まで融資可能」という記載がありました。
これについては後でお話しします。
自己資金の要件はあくまでスタートライン
上でもお話ししたように、日本政策金融公庫は開業資金総額の1/10あればいい、信用保証協会については0円でもOKとあります。
が、これはあくまでも最低条件であり、スタートラインに立つための要件です。
要するに、実際にお金が借りられるかどうかは別の話、ということです。
実際問題どうなんだ?というところですが、いままでの経験としては、開業資金総額の1/3を準備しておくのがいいでしょう。
当然ですが、融資が下りるかどうかはケースバイケースです。
自己資金が少なくても融資が下りたケースもたくさんあります。
ですが、「自己資金0円で申し込めるから大丈夫でしょ!」と楽観視するのは非常に危険です。
自己資金の要件はあくまでパズルのひとかけらです。
やはり自己資金は多ければ多いほどいい、ということになります。
自己資金にならないお金
ここで、自己資金とならないお金をまとめます。
タンス預金
手もとにあるお金(いわゆるタンス預金)は、自己資金とは認められません。
理由は「見せ金」になるからです。
見せ金とはその名の通り、見せるためのお金です。
例えば、消費者金融で1日だけお金を借りたとして、そのお金を「タンス預金です」と言うことができてしまい、これを認めてしまうとやりたい放題になってしまいます。
本当に貯めたお金だとしても、見せ金と判断されてしまいます。
コツコツ貯めたお金はちゃんと証拠が残るように、通帳に入金するようにしましょう。
急に入金されたお金
開業直前に急に多くのお金が入金され、そのお金の出どころがわからない場合は見せ金と判断される可能性が高いです。
当然ですが、出どころがわかるお金であれば大丈夫です。
人から借りたお金
人から借りたお金は自己資金とみられません。
家族や親せきから資金を援助してもらったりすることがあると思いますが、この場合は自己資金とみられます(銀行の判断によりますが)。
この場合、援助してもらった証拠(通帳の印字に名前が載っている、贈与契約書があるなど)をしっかり残して説明できるようにしましょう。
まとめ
自己資金についてお話ししました。
自己資金は、言葉にすると簡単ですが、それ以上に深いニュアンスが含まれているのがわかったかと思います。
くりかえしになりますが、自己資金は多ければ多いほど銀行から評価され、これからのやる気も判断されます。
創業融資を確実に成功させるために、少しづつでもいいので貯金しておくようにしましょう。