こんにちは。春日井市の元銀行員税理士・小野木です。
最近、銀行の方と「レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィスでも銀行融資を受けられるか?」という話をしました。
お客さまからの質問でも多く聞かれますので、そのお話をしたいと思います。
もくじ
創業融資の場合は警戒される
レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィスを利用している方が創業融資を申し込もうとすると、基本的に銀行は後ろ向きというか警戒します。
理由としては、3つあります。
警戒される理由1 事業の実態が把握しづらい
事業の実態とは、
「ちゃんと営業しているか」
「オフィスの住所で、仕事をしているのが一目でわかるか」
という意味です。
レンタルオフィスは個室を借りるのでいいですが、シェアオフィスは特定の場所を借りるものの、複数で利用するので銀行としては事業の実態が把握しづらいです。
バーチャルオフィスに至っては住所を借りるだけの形なので、事業の実態が完全にわかりません。
警戒される理由2 管理しづらい
レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィスの利点として、
「気軽に利用できる」
「すぐ解約することができる」
などがあります。
利用者から見ればとても便利ですが、銀行の立場からすると複雑です。
銀行で融資を受けたとしたら、そのあとの管理は支店が行います。
支店は管轄(対応エリア)が決まっているので、引っ越しなどで管轄外になった場合は別の支店に引き継ぐ必要があります。
引継ぎ作業はなかなか面倒で大変な作業ですので、将来引っ越しする可能性が高い方は避けたいのです。
警戒される理由3 過去に詐欺が横行した
投資詐欺や、コピー品販売などをしようとする会社がバーチャルオフィスなどを借りて詐欺を行うということが過去にありました。
このような過去のイメージが、現在でもあるというのが正直なところです。
また、こちらも昔の話ですが、レンタルオフィスを利用している会社が融資を受け、その後返済せずに逃げてしまったということも多くあったそうです。
もちろん、健全な会社がほとんどなのでひとくくりにして見るのはいかがなものかと思いますが、銀行はどうしても保守的な組織なので、慎重にならざるを得ないのです。
レンタルオフィスの場合は創業融資OKの銀行も増えた
レンタルオフィスに限った話ですが、創業融資を申し込むことができる銀行が増えてきました。
開業時のリスクを減らすために、レンタルオフィスを利用する創業者が増えてきており、そこから事業を拡大する方も多くいらっしゃいます。
レンタルオフィスは事業の実態も把握できますし、ビルの1室を借りるのと何ら変わりはない、という考えが浸透してきましたので、現在ではレンタルオフィスだからと言って不利になることはほぼないと言えます。
シェアオフィス、バーチャルオフィスの方でも過去の実績があればOK
シェアオフィス、バーチャルオフィスを利用した方の創業融資申込は、事業の実態が把握しづらいので基本的には難しいです。
ですが、過去2~3年の実績があり、決算書を提出できる状態になれば事業の実態がわかりますので、問題なく融資を申し込むことができます。
バーチャルオフィスはそもそも銀行口座が作りづらい
ここで注意したいのが、バーチャルオフィスは銀行口座が作りづらい、という点です。
知り合いの銀行員何名かに聞き取りしたものを、下記にまとめましたので参考にしてください。
ネット銀行 | 作成できる可能性が一番高い |
メガバンク | 過去の事業実績があれば可能。 取引のない方、新たに開業・設立した方はかなり難しい |
ゆうちょ銀行 | 法人の住所で郵便物を受け取れるなら可能性あり |
地方銀行 | 基本的に難しい |
信用金庫 | 基本的に難しい |
現状としてはケースバイケースとしか言えないところです。
上記で難しいとあるものでも、紹介者がいる場合や、他にプラスになる材料があれば不可能ではないとのことでした。
特にこだわりがない方は、ネット銀行で申し込むのが一番合理的と言えるでしょう。
まとめ
レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィスの方が銀行融資を受けることができるか、についてお話ししました。
今回の話はあくまで一例ですので、問題なく融資をうけることができた場合もあります。
ですが、基本的には難しい、ということを頭の片隅に入れておきましょう。
利用する側としてはとても便利なサービスですが、銀行融資を受けようとする場合は注意が必要です。