法人を設立するときの注意点 ~資本金はいくらにする?~

こんにちは。春日井市の元銀行員税理士・小野木です。

会社を設立する前に「資本金をいくらにしたらいいか?」と相談を受けることがあります。

現在は資本金1円からでも会社を設立することが可能ですので、逆に決めにくいところがあるかもしれません。

今回は資本金をいくらにすればいいか?についてお話ししていきます。

もくじ

資本金を決めるための基準

許認可

許認可が必要な事業で開業する方は、基準額をもとに資本金を決めましょう。

たとえば、建築業であれば500万円、人材派遣業であれば2,000万円と、最低金額が定めれられています。

開業予定の事業で許認可が必要な場合、資本金の要件があるか事前に確認しておくようにしましょう。

税金

資本金によって納める税金の額が変わってきますので注意しましょう。

消費税

資本金が1,000万円未満の場合、会社を設立してから2期目まで(最長2年間)は消費税が免除されます。

しかし、資本金1,000万円以上だと1期目から消費税が課税されます。

※令和5年10月1日から消費税のインボイス制度が始まります。

会社の設立時期によって免税期間が短くなりますのでご了承ください。

法人住民税

会社を設立すると、税金を国に納めるだけでなく、都道府県と市町村にも支払う義務があります。

そのなかで「均等割」というものがあり、いわゆるショバ代のような税金があります。

これは、会社が黒字でも赤字でも納める必要があり、資本金で納付税額が決まります。

愛知県の場合

資本金1,000万円以下年間21,000円
資本金1,000万円超年間52,500円

名古屋市、春日井市、小牧市の場合

資本金1,000万円以下年間50,000円
資本金1,000万円超年間130,000円

※均等割は資本金の金額のほか、従業員の人数によって税額が変わりますのでご了承ください。

銀行

対銀行を考えると、少なすぎる資本金は避けた方が無難です。

たとえば、資本金1円で作った会社から創業融資の申し込みがあったとしたら、「本当に事業を展開していける会社なのか?」と警戒される可能性が高いです。

むかし、最低資本金制度というのがあり、少なくとも300万円の資本金が必要でした。

今は廃止されましたが、銀行の担当者の中にはこの「300万円」に慣れているということあり、低すぎる資本金は警戒される可能性があるのです。

債務超過

債務超過とは、自社の負債が資産より多くなることをいいます。

極端な例ですが、資本金10万円で設立したとすると、会社には10万円の資産があることになります。

今期は準備期間ということもあるため、売上が0円で経費の支払いが50万円だったとします。

そうなると、今期は50万円の赤字ということになるので、資産が50万円減ったことになり、10万円-50万円=マイナス40万円になります。

この、マイナス40万円の状態を債務超過といいます。

債務超過の状態で融資を申し込もうとすると、銀行によっては大目に見てくれるところもありますが、基本的には審査が不利になってしまいます。

債務超過の状態を防ぐためにも、資本金はある程度の金額がいいでしょう。

まとめ 300万円~1,000万円未満がおすすめ

結局いくらぐらいがいいのかについては、会社を設立する目的にもよりますが、300万円~1,000万円未満がいいと思います。

300万円未満だと、万が一債務超過になってしまうかもしれないことや、融資の審査で不利になってしまうことが考えられます。

1,000万円以上だと、1期目から消費税の課税事業者になってしまう・法人住民税が高くなってしまうデメリットがあります。

なお、300万円以上がいいとはいいましたが、会社の信頼を得たい場合は500万円を目安に考えておくといいでしょう。

現在は気軽に会社を設立することができるとはいえ、資本金を適当に決めてしまって後悔するようなことになれば元も子もありません。

会社設立前には事前に税理士やコンサルタントへ相談することも検討してみましょう。

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