こんにちは。春日井市の元銀行員税理士・小野木です。
銀行から融資を受けるとき、「担保が必要です」と言われることがあります。
担保を提供するときに、「抵当権」や「根抵当権」といったワードが出てくることがありますが、難しくてよくわからない方も多いと思います。
今回は、「抵当権」「根抵当権」のちがいについてお話していきます。
もくじ
まず「担保」とは?
担保とは、もし借金が返せないときに備えて、前もって資産を提供しておくことをいいます。
ものすごく簡単にいうと、「借金のカタ」です。ちょっと怖い言葉ですね…。
担保には2種類あり、「人的担保」と「物的担保」があります。
人的担保
保証人または連帯保証人、をいいます。
借金が返せなくなったときは、保証人または連帯保証人がかわりに返済することになります。
どちらも同じような意味ですが、責任の度合いは連帯保証人の方が重いです。
この話はまた別の機会に。
物的担保
借金が返せなくなったときに備えて、前もって土地や建物を担保(借金のカタ)として渡すことをいいます。
この土地や建物を担保にするときに「抵当権」とか「根抵当権」という言葉が出てきます。
「抵当権」「根抵当権」とは?ちがいはなに?
たとえば、
- Aさんは生活が苦しいのでお金が借りたい。お金はないが高級時計を持っている。
- 友だちのBさんはお金持ち。Aさんにだったらお金を貸してもいい。
と、2人の登場人物がいるとします。
抵当権とは?
Aさん:「Bさん!30万円貸して!」 Bさん:「いいよ!でもちゃんと返ってくるかなあ…怖いなあ…」 Aさん:「わかった!じゃあ30万円返すまでの間、この時計を渡しておくよ! Bさん:「それならいいよ!はい30万円!」 ~1か月後~ Aさん:「この間借りた30万円返すね!」 Bさん:「ありがとう。じゃあ預かってた時計返すね!」 |
この場合、借金の前に預けた時計が担保で、「抵当権が設定された物的担保」となります。
根抵当権とは?
Aさん:「Bさん!またお金貸して!」 Bさん:「いいよ!でもちゃんと返ってくるかなあ…怖いなあ…」 Aさん:「わかった!またこの時計を渡すよ!」 Bさん:「わかった。今回はいくら?」 Aさん:「ちょっと提案なんだけど、この時計って売れば50万円はするでしょ?だから50万円までは自由に借りたり返済したりできないかな?」 Bさん:「う~ん…、まあAさんだったらいいよ!」 Aさん:「ありがとう。じゃあとりあえず10万円貸して!」 Bさん:「はい10万円。残りの枠は40万円ね!」 |
この場合、借金の前に預けた時計が担保で、「根抵当権が設定された物的担保」となります。
結局、なにがちがうのか?
2つのお話しのちがいはわかりましたか?
ポイントは、
- 抵当権は、貸す金額を事前に決めていた。返済が終われば時計は返していた。
- 根抵当権は、最初に限度額を決めておいて、枠内であれば自由に借りることができる。時計はBさんが預かりっぱなし。
です。
まとめると、
- 抵当権は借りるつど担保(時計)を設定し、借金を返済すれば抵当権は外れる
- 根抵当権は枠内であれば何度も借りてよく、担保(時計)は設定したまま
というちがいがあります。
一番身近なのは住宅ローン
住宅ローンを借りるとき、多くの場合は自宅の土地と建物を担保としてとられます。
住宅ローンは1回こっきりのローンで、返済が終わればもう担保はいらないよ、となるので「抵当権」が設定されます。
まとめ
抵当権と根抵当権のちがいについてお話ししました。
細かい話は省略してお話ししましたが、なんとなくちがいが分かったかと思います。
事業をしている方で不動産を担保にお金を借りる場合は、必ずと言っていいほど「抵当権」「根抵当権」の話が出てきますので、しっかりと理解しておきましょう。