青色申告は特典がいっぱい。できそうならチャレンジしてみよう

こんにちは。春日井市の元銀行員税理士・小野木です。

今年も早いものでもう10月ですね。

われわれ税理士は、そろそろ確定申告の準備を始める時期です。

毎年お客さまから「青色申告ってなに?」「青色申告っておトクなの?」「どうすれば青色申告ができる?」のようなご質問をいただきます。

わたし自身の復習をかねて、今回は青色申告についてわかりやすくお話しします。

もくじ

青色申告とは?

個人事業や不動産貸付をしている人が、正確に確定申告をするために毎日の収入や経費を正しく記録しておく必要があります。

帳簿に記録しておくことを「記帳」と呼びますが、一定水準の記帳であれば青色申告をすることができ、様々な特典を受けることができます。

「一定水準の記帳」「青色申告の特典」についてはこのあとお話ししていきます。

一定水準の記帳とは?

一定水準の記帳とは、「正規の簿記の原則」という会計のルールに基づいた記帳方法のことをいいます。

確定申告をする際、損益計算書と貸借対照表という2つの書類を作らなければなりません。

損益計算書とは、1年間の収入と経費を集計し、その差額から利益を計算する書類です。

要は、1年間でいくら売上があったかな?経費がいくらかかったかな?いくら黒字になったかな?というのがわかるもので、おこづかい帳のようなイメージのものです。

一方、貸借対照表とは、1月1日時点と12月31日時点の資産や負債の増減を把握したうえで利益を計算するものです。

損益計算書は1年ごとの集計でしたが、貸借対照表は開業から今までの資産・負債が記録されているので、損益計算書にくらべて難易度が上がります。

この2つの書類を作るにあたって、「複式簿記」と呼ばれる方法で集計しなければ、青色申告の特典をフルで受けることはできません。

これに対し、「単式簿記」という方法がありますが、難易度が下がるぶん、青色申告の特典は減ってしまいます。

※複式簿記とは、簿記でいう「借方」「貸方」を使って日々の取引を集計する方法です。

※単式簿記とは、単純に収支だけを記録したものです。

説明が長くて心配になっている方もいらっしゃるかもしれませんが、市販の会計ソフトなどのツールを使えば、複式簿記による記帳ができますので、簡単に作成することができます。

青色申告のメリットは大きいので、ぜひ検討してみてください。

青色申告の特典

青色申告の特典は3つあります。

それぞれみていきましょう。

お金がかからない経費「青色申告特別控除」

青色申告特別控除とは、事業所得や不動産所得から最高65万円(単式簿記の場合は10万円)を引くことができる制度です。

たとえば、1年間の収入から経費を引いた額が300万円であれば、そこから65万円を引いた235万円をもとに所得税や住民税を計算することができます。

所得税率10%・住民税率10%だとすると、65万円×(10%+10%)=13万円が節税できる、ということになります。

会計ソフト購入や記帳の手間を考えても、十分な恩恵を受けられる特典です。

家族を従業員にできる「青色事業専従者給与」

青色事業専従者給与とは、事業を手伝ってくれた家族へ給料を支払って経費にできる、という制度です。

あたりまえの話じゃん、と思われるかもしれませんが、所得税には「家族に給料を払っても経費にできない」というルールがあります。

これは、家族間であれば「働いていないのに給料を払って経費を増やしてしまおう」ということが簡単にできてしまい、不公平になってしまうので、それを防ぐためにこういったルールがあるのです。

ですが、青色申告を選択し、青色事業専従者になる旨の届出をすると、家族に給料を払って経費に計上することができます。

青色事業専従者になれるのは、配偶者や親族で、年齢が15歳以上であり同一生計であることなどの条件があります。

また、専従者とあるとおり、他でパートなどをしている人は基本的に対象外となってしまいますので注意しましょう。

これらの特典は「青色申告承認申請書」に加えて「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することが要件となっています。

今年の赤字を3年間繰り越せる

たとえば、令和3年分の所得がマイナス200万円だったとして、令和4年分の所得がプラス500万円だとしたら、令和4年分の所得を「500万円ー200万円=300万円」と合算することができる制度です。

開業当初は赤字になってしまうことがあるので、この制度は大きなメリットといえます。

青色申告の特典を受けるための手続き

青色申告をしようとする場合、「所得税の青色申告承認申請書」という届出書を提出します。

提出期限は、

  • 青色申告をしようとする年の3月15日までに提出

(例:令和4年から青色申告をしたい…令和4年3月15日までに提出)

  • その年の1月16日以降に開業した場合は、その事業を開始した日から2か月以内に提出

(例:令和3年4月1日に開業した場合・・・令和3年5月31日までに提出)

また、青色専従者給与を支払う予定の方は「青色事業専従者給与に関する届出書」をさらに提出する必要があります。

提出期限は、

  • その適用を受けようとする年の3月15日までに提出

  • その年の1月16日以降に開業した場合や、青色事業専従者がことになった場合、その日から2か月以内に提出

青色申告をする予定の方、青色事業専従者に給与を支払う予定の方は、忘れないように手続きしましょう。

まとめ

青色申告の特典についてお話ししました。

税金面でのメリットが大きいのは魅力ですが、複式簿記で記帳をすることによって、毎月の業績を見られるようになることもメリットです。

毎月ごとの業績をみることで、「今月はいくら儲かったかな」とか「今月はこの経費が多かったな」といったことがわかるようになります。

数字を把握しておくことで、ムダ使いがなくなりますし、いつお金が足りなくなりそうか、ということも判断できるようになります。

ご自身の事業に必ず役に立つ情報が得られますので、積極的にチャレンジしていきましょう!

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