「現金預金を多く持っておく」ことを最優先にする

こんにちは。春日井市の元銀行員税理士・小野木です。

お客さまとよく、「経営するうえで最も重要なのは現金預金を多く持っておくこと」というお話をします。

売上を上げることももちろん大事ですが、なによりも大事なのは手元の資金と考えています。

手元の資金がないと、なにかあったときに対応できません。

逆に、手元資金が潤沢にあれば、なにかトラブルが起こっても対応できます。

もくじ

「現金預金」はどのぐらいあればいい?

現金預金が多くあればいいといわれても、どのぐらいあればいいのでしょうか?

わたしの場合、お客さまには「月の売り上げの2か月分以上」持つようにしましょうとお話ししています。

たとえば、月の売上が400万円で、仕入・外注・人件費・経費などの支払が300万円だとします。

売上の入金が月末で、経費などの支払が25日だった場合、手元に300万円ないと支払いができません。

この300万円+1か月の売上400万円を足すと700万円になります。

このような感じで、月の売り上げのだいたい2か月分ぐらい手元にあれば、現金預金が十分にある状態、といえます。

言い方を変えると、「1~2か月売上がゼロでも会社がまわる」状態であるともいえます。

現金預金を増やすためには、借入をすると手っ取り早い

現金預金を増やすために、売上を増やしたり経費を減らしたり、ということが頭に浮かぶ方が多いですが、「借入をする」ことを考える方は少ないです。

それでもわたしは借入をおすすめします。理由は、「手っ取り早く現金預金を増やすことができる」からです。

お金が必要なくても、あえて借入をして現金預金を多く持っておく状態にしておくことが大切です。

当然ですが、借入したお金はもらえたわけではないので自由に使えるわけではありません。

わたしの経験上、どんな方でも「借入してお金がいっぱいあるし、少しぐらいならムダ使いしてもいいかな?」と心がぐらつくものです。

いくら口すっぱくお伝えしても、財布のひもが緩んでしまう方が多いので、本当に気を付けていただきたいところです。

現金預金を多く持ちたいなら税金を払う

節税対策で「必要ないけど車を買おう」とか「法人税を減らしたいから役員報酬を増やそう」と考える方が多いです。

気持ちはわかりますが、現金預金を増やしたいのであればしっかり税金を払うことが重要です。

たとえば、今期の利益が1,000万円で法人税率が30%、手元のお金が800万円あるとします。

まともに税金を払う場合、

  • 今期の利益 1,000万円

  • 法人税 1,000万円×30%=300万円

  • 手元のお金 800万円-300万円=500万円

これに対し、節税対策として300万円の中古車(耐用年数2年)を購入した場合、

  • 今期の利益 1,000万円-減価償却費150万円=850万円

  • 法人税 850万円×30%=255万円

  • 手元のお金 800万円-255万円(法人税)-300万円(車購入)=245万円

くらべてみると、節税対策した場合は法人税が45万円減りますが、手元のお金は245万円減り、255万円しか残らないことになります。

先の経営のことを考えれば、手元のお金を減らしてまで税金を減らすのはいかがなものか?とわかっていただけたと思います。

まとめ

現金預金を多く持つことの大切さについてお話ししました。

現金預金を多く持っていれば、新型コロナの影響で売上が落ちるような事態が起きても、当分は対処できます。

お金がないことに対する不安というのは想像以上に大きいです。

余裕があるうちに早めに融資を受けておくのがおすすめです。

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